常温核融合と小型核

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3つの”劣化ウラン弾”の秘密

出版記念講演 (Emilio Del Giudice 編)
1989年に発表され世界的なセンセーションを巻き起こした常温核融合。
これにより、「臨界質量」に縛られない超小型核爆弾製造が可能となる。
イタリアに於ける常温核融合研究の草分けであるエミーリオ・デル・ジュディチェ博士が解りやすく説明する。


<出典>
https://www.youtube.com/watch?v=EtdM8xIR9JI

解説

上の動画から、要点を解説する。

fig1 原子核同士は電気的反発力によって斥力が働き、決して1つに結合(凝集)しない。
fig1 外部から熱を与え運動エネルギーを高めると核同士が近づいていく。ある距離にまで近づくと結合力が電気的反発力に勝り1つの核に結合(凝集)する。
fig1 この反応は、6千万度の熱を与えることで可能で、この核融合反応を熱核融合と呼ぶ。軍事利用では、原爆を爆発させて高温・高圧を作り、重水素を熱核融合させ大爆発を起こさせる。
fig1 熱核融合の民間利用を考えてみよう。6千万度の温度に耐えうる容器を作ることはできないので、強力な電磁石で覆われた中にプラズマ状態の原子核を置き、これに熱を与えることで核融合反応を起こさせることが考えられる。
しかし、これは現実では不可能であるから民間利用は正に夢の技術である。
fig1 熱を与え運動エネルギーを高める方法ではなく、別の方法で核同士を近づける方法を考えてみよう。
核はプラス電荷を持っている。マイナス電荷を持つ物質を利用することで電気的反発力を弱める方法が考えられる。これを熱核融合に対して常温核融合と呼ぶ。
そこで、パラジウムの粉末に重水素を吸収させる。重水素とパラジウムの比率が2対3に達すると平衡状態になり吸収されなくなるが、電気的操作を加えるとさらに吸収させることができ、1対1の比率に到達すると核融合反応が始まり、1原子あたり500evの電気を起こす。
パラジウムの粉末を利用した場合、1対1の比率にするのに充填期間は4週間かかる。
(「凝集性理論」濃度がある一定レベルを超えると、反発せず結合する。)
この電気的な操作を行うと、パラジウム粉末に電磁界が発生し熱が出て凝集性を破壊してしまう。
そこで、これを抑えるために純度99.99%の細いパラジウム線やパラジウム箔を利用する。
長い線状にすれば大きな電気抵抗値を持つので電位差を小さくすることができる。
パラジウム線の一方にマイナス電位を掛け、もう一方をアースして、パラジウム線全体にマイナスの電位が掛かるようにする。
これにより、充填期間はたったの5分へと劇的に短縮した。
実験の結果、この常温核融合によって10%はニッケルに変化していることがわかった。ニッケルはパラジウムの約半分の原子番号である。これは核分裂が起きていることを示唆する。
常温核融合により発生した余剰エネルギーは原子核内の電磁界を振動させ、原子核の分裂を引き起こしているものと考えられる。
常温核融合により、その10%は核分裂する。
fig1 素粒子理論では、左図のように原子核はシェル(殻)構造になっており、振動によってシェルが剥がれ、バランスのとれたいくつかの部分に分解する。
この場合には、核分裂によるプライマリーな放射能は出ない
では、パラジウムの代わりにウランだったらどうなるだろうか。
核爆弾を例に考えてみよう。
核分裂物質を集積してゆくと、ある集積量以上で内部の核分裂反応が臨界状態に達する。このときの最少量を臨界質量というが、100%濃縮されたウラン235の臨界質量は15キロである。しかし、常温核融合ではこの臨界質量とは無関係である。
つまり、次のようなことが考えられることになる。
1.4トンの天然ウランで2万トンのTNT火薬に相当する。
同様に、
1.4kgの天然ウラン=20トンのTNT火薬
140gの天然ウラン=2トンのTNT火薬=戦艦の大砲の弾
14gの天然ウラン=200kgのTNT火薬=大砲の弾
である。
つまり、ピストルの弾の大きさで、大砲の弾の破壊力を実現できる。
fig1 天然ウランは、パラジウムと同様に重水素を吸収する。
天然ウランでできた弾に、常温核融合反応が始まる少し足りない量まで重水素を吸収させる。この重水ウランを圧縮するための起爆装置を配置する。この起爆装置を爆発させ重水ウランの体積を圧縮し臨界濃度に到達させる。すると常温核融合反応が起こり、その余剰エネルギーが天然ウランに含まれるウラン235を核分裂させる。
ところで、起爆装置が必須という訳ではない。体積を圧縮できればよいのであって、”着弾による圧縮変形”でもよく、色々考えられる。
天然ウランに含まれるウラン238はそのままに、ウラン235だけが核分裂する。
このようにして、常温核融合を使用すれば小型の核が実現できる。
広島型原爆は、1%のウラン235が核分裂し、99%は飛散した。
これに比べても、常温核融合を利用した小型核は効率がいい。(常温核融合は、その10%が核分裂する。)
この小型核爆発で残るものは、劣化ウランである。
劣化ウラン弾を使用する理由として軍関係者がしばしば口にする「劣化ウランは鉛より重いので貫通能力に優れ、しかも安いから弾頭に使用している。」というのは、小型核兵器を使用していることを隠蔽するための言い訳である。

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